事業継続力強化計画 2026|ものづくり・持続化・省力化の加点、特別償却16%、認定まで約45日の申請手順を解説
最終更新: 2026-09-13
事業継続力強化計画は、中小企業が防災・減災の事前対策をまとめた計画を経済産業大臣が認定する制度で、中小企業庁は「中小企業のための取り組みやすいBCP」と位置づけています。認定を受けると、2026年度の主要な補助金の審査で加点されるほか、防災設備の特別償却や日本政策金融公庫の低利融資が使えます。この記事では2026年9月時点の公式資料をもとに、メリット、加点対象の補助金と認定の期限、計画に書く内容、電子申請の流れをまとめます。結論から言うと、標準処理期間が約45日のため、11月受付の持続化補助金第20回で加点を狙うなら9月中の申請が目安です。
事業継続力強化計画とは(制度の基本)
- 根拠法は中小企業等経営強化法。2019年(令和元年)7月に制度が始まり、認定件数は2026年7月末時点で累計102,591件(うち連携型1,988件)
- 自社だけで策定する「単独型」と、複数の事業者が共同で策定する「連携型」の2種類がある
- 対象は同法の中小企業者(製造業その他は資本金3億円以下または従業員300人以下など)。個人事業主も開業届を提出していれば申請できる
- 想定するリスクは地震・豪雨・暴風などの自然災害に加え、感染症とサイバー攻撃も含まれる(感染症のみを想定した計画でも認定を受けられる)
認定で受けられる4つのメリット
- 補助金の加点: 新事業進出・ものづくり商業サービス補助金、小規模事業者持続化補助金(一般型・創業型)、中小企業省力化投資補助金(一般型)、事業承継・M&A補助金が中小企業庁の加点対象一覧に掲載されている(2026年7月17日版)。期限の詳細は次の章で解説
- 税制優遇(中小企業防災・減災投資促進税制): 2027年(令和9年)3月31日までに認定を受け、認定日から1年以内に計画に記載した対象設備を取得して事業の用に供すると、特別償却16%が使える。対象は自家発電設備・止水板・耐震装置などで、機械装置は100万円以上、器具備品は40万円以上、建物附属設備は60万円以上が要件(令和8年度税制改正で器具備品は30万円以上から40万円以上に変更)。青色申告の中小企業者等が対象で、消防法などで設置が義務づけられた設備や、補助金を受けて取得する設備は対象外
- 低利融資: 日本政策金融公庫の融資で、認定計画に係る設備資金は基準利率から0.9%、運転資金は0.4%の引下げ(引下げの適用は4億円まで)
- 信用保証の別枠: 普通保険2億円・無担保保険8,000万円・特別小口保険2,000万円について、通常枠と同額の別枠が追加される。このほか認定ロゴマークを使えるほか、一部の損害保険会社では保険料割引の検討対象になる
2026年度の補助金で加点になる3制度と認定の期限
加点はいずれも「申請時点で認定済み」が条件で、認定の申請中では認められません。各公募要領の記載をもとに、いま申請できる3制度の期限を整理します。
- 新事業進出・ものづくり商業サービス補助金 第1回(申請受付は2026年9月30日〜10月30日18時締切): 公募要領は「申請締切日時点で有効な(連携)事業継続力強化計画を取得している事業者」を加点対象としている。今から認定申請しても標準処理期間の約45日では10月30日に間に合わない可能性が高く、次回公募に向けた準備と考えるのが現実的
- 小規模事業者持続化補助金 第20回(受付は2026年11月5日〜12月15日17時): 政策加点の一つ「事業継続力強化計画策定加点」。公募要領は「締切日よりも後に認定を受けた事業者や、認定申請中の事業者、実施期間が終了している事業者は対象となりません」と明記。重点政策加点と政策加点はそれぞれ1種類しか選べないため、賃上げ加点など他の政策加点との比較が必要
- 中小企業省力化投資補助金 一般型 第8回(申請ポータルの受付は2026年9月18日10時開始、締切は未公表): 有効な認定の受付番号と実施期間を申請時に入力する。実施状況の振り返り報告や複数回の認定取得で加点が上乗せされる
計画に書く内容は5ステップ
中小企業庁の「策定の手引き」は、計画づくりを次の5ステップで説明しています。電子申請では基本的にすべての記入欄を埋める必要があります。
- STEP1 計画策定の目的: 事業活動の概要と、事業継続力強化に取り組む目的
- STEP2 災害等のリスク確認・影響想定: ハザードマップなどで自社拠点のリスクを確認し、ヒト・モノ・カネ・情報の4つの切り口で被害を想定する
- STEP3 発災時の初動対応: 人命の安全確保、緊急時体制の構築、被害状況の把握・共有の手順
- STEP4 ヒト・モノ・カネ・情報への事前対策: 安否確認の手段、設備の固定や自家発電、保険や資金の備え、データのバックアップなど
- STEP5 平時の推進体制: 経営層の指揮の下で計画を実行し、年1回以上の訓練・教育と計画の見直しを行う
申請の流れと注意点
- gBizIDプライムを取得し(約2週間)、事業継続力強化計画の電子申請システムから申請する。単独型はシステム内で直接入力し、原則として電子申請のみ
- 審査は主たる事業所を管轄する経済産業局が行い、標準処理期間は約45日。記載に不備があると照会で長引く
- 実施期間は最長3年。認定日から実施期間の終了月までが認定期間で、補助金の加点はこの期間内であることが条件
- 更新制度はなく、実施期間の満了後は新規申請が必要。2回目以降の申請には直近の計画の実施状況報告書を添付する
- 認定を受けると事業者名・所在地・業種・認定年月日などが中小企業庁のサイトで公表される
- 自力で書くのが不安なら、中小機構の「ジギョケイ・ハンズオン支援」(専門家が1回1〜2時間×1〜4回程度の打ち合わせで申請書の完成を無料で支援。2026年は12月末までの予定で、応募状況により早めに受付終了の可能性あり)や、地域の商工会・商工会議所に相談できる
中小企業庁「事業継続力強化計画認定制度」(公式・策定の手引きと電子申請の案内) ↗
認定を取ったら、加点を活かせる補助金を逃さない
事業継続力強化計画の認定は、一度取れば実施期間中の複数の公募で繰り返し加点に使えます。ただし対象の補助金は締切が制度ごとに異なり、ものづくり系は年に数回、持続化補助金は次回が12月15日締切と、タイミングを逃すと数か月待つことになります。補助金みっけでは国の公式データを毎日取り込み、気になる制度を登録すると締切前にメールでお知らせします。プロプランなら事業プロフィールに合う新着補助金をAIが判定して通知するため、認定が下りたタイミングで申請先を選べます。
よくある質問
認定を申請中の状態でも補助金の加点は受けられますか?
受けられません。小規模事業者持続化補助金第20回の公募要領は「認定申請中の事業者」を加点の対象外と明記しており、新事業進出・ものづくり商業サービス補助金も「申請締切日時点で有効な認定を取得している事業者」が条件です。標準処理期間が約45日のため、狙う公募の締切の2か月前には認定申請を済ませておくのが目安です。
事業継続力強化計画と一般的なBCP(事業継続計画)は何が違いますか?
事業継続力強化計画は、中小企業庁が「中小企業のための取り組みやすいBCP」と位置づける国の認定制度です。目的・リスク想定・初動対応・事前対策・推進体制の5項目を電子申請システムに入力し、経済産業局の審査を経て認定されます。自社で作った一般的なBCPには認定がなく、補助金の加点や税制優遇などの支援措置は認定を受けた場合に限られます。既にBCPがあれば、その内容を計画に落とし込めます。
認定の有効期間はどれくらいですか?
計画の実施期間は最長3年で、認定日から実施期間の終了月までが認定期間です。更新制度はないため、満了後も加点などを使いたい場合は新たに申請します。実施期間中でも2回目以降の申請はでき、その際は直近の計画の実施状況報告書を添付する必要があります。
関連記事
補助金の採択率を上げる事業計画書の書き方|審査員に伝わる7つのコツ
補助金の採択率を上げるための事業計画書の書き方を解説。審査項目の読み方、加点項目の取り方、不採択になる典型パターンなど実践的なコツをまとめました。
ものづくり補助金は2026年度から新制度へ統合|上限額・採択率・次回スケジュールまとめ
ものづくり補助金は2026年度から「新事業進出・ものづくり商業サービス補助金」に統合されました。新制度の補助上限(最大9,000万円)・補助率・第1回公募スケジュール(9月30日受付開始に変更)・直近の採択率を解説します。
小規模事業者持続化補助金 第20回|上限最大250万円・11月受付開始・採択率を解説
小規模事業者持続化補助金の第20回公募は2026年11月5日〜12月15日受付。補助上限50万円(特例併用で最大250万円)・補助率2/3、対象者要件、様式4の落とし穴、直近の採択率(約47〜51%)を解説します。
中小企業省力化投資補助金|カタログ型と一般型の違い・上限額(最大1億円)・採択率を解説
人手不足対策に使える中小企業省力化投資補助金を解説。カタログ注文型は随時申請でき従業員数に応じ最大1,500万円、一般型は最大1億円(補助率1/2〜2/3)で採択率は約61〜69%。清掃ロボット・券売機などの対象製品、申請の流れ、賃上げ要件の注意点をまとめます。
令和8年熊本地震の事業者支援まとめ|雇調金特例・県の保証料0%資金が始動、再建補助金の見通し(8月22日更新)
令和8年熊本地震(最大震度7・激甚災害指定)で被災した中小企業・農業者向けの支援策を一次情報で整理。新たに発表された雇用調整助成金の特例(8月20日)と熊本県の保証料0%の特別資金(8月24日申込開始)、発動済みのセーフティネット保証4号・災害復旧貸付・納税猶予、まだ未発表の建物再建補助金の見通しまで。続報に合わせて更新します。