キャリアアップ助成金 2026年度|正社員化で1人最大80万円・賃上げ3%要件・申請の流れを解説
最終更新: 2026-08-15
パート・アルバイト・契約社員・派遣社員を正社員に転換した企業に支給されるのが「キャリアアップ助成金」(厚生労働省)です。中心となる正社員化コースは、中小企業で1人あたり最大80万円。事業計画の審査で競う補助金と違い、要件を満たせば支給され、公募期間もないため通年で取り組めます。ただし、転換する前に「キャリアアップ計画書」を労働局へ提出しておくことが絶対条件で、順番を間違えると受給できません。この記事では2026年度(令和8年度)の支給額・要件・申請の流れを、厚生労働省の令和8年度版パンフレット(2026年4月8日現在)など一次情報ベースで整理します。
正社員化コースの支給額(1人あたり)
- 有期雇用(パート・アルバイト・契約社員など)→ 正社員: 中小企業40万円、重点支援対象者は80万円(40万円×2期)
- 無期雇用 → 正社員: 中小企業20万円、重点支援対象者は40万円(20万円×2期)
- 大企業は有期→正規30万円(重点支援対象者60万円)、無期→正規15万円(同30万円)
- 支給申請は1年度・1事業所あたり20名まで
1事業所1回限りの加算もあります(金額は中小企業)。正社員転換制度を新たに就業規則に規定して転換した場合は20万円、勤務地限定・職務限定・短時間正社員制度の新規規定なら40万円。さらに2026年4月8日からは、転換制度や直近3事業年度の転換実績を自社サイトまたは厚労省サイト「しょくばらぼ」に公表すると20万円が加算される「情報公表加算」が新設されました。
80万円になる「重点支援対象者」とは
雇入れから3年以上の有期雇用労働者が代表例です。3年未満でも、過去5年間に正社員だった期間が通算1年以下で、直近1年間正社員として働いていない人(新規学卒者を除く)は該当します。このほか、派遣労働者を派遣先が直接雇用する場合、母子家庭の母・父子家庭の父、人材開発支援助成金の対象訓練(人材育成支援コースなど)の修了者も重点支援対象者です。該当すれば支給額が2倍になるため、対象者の雇用履歴の確認は最初に行いましょう。
対象となる主な要件 — 賃上げ3%が最重要
- 転換後6ヶ月間の賃金が転換前6ヶ月間と比べて3%以上増えていること(基本給と定額手当で比較。通勤手当などの実費補填、残業代、賞与は算入不可)
- 対象労働者は、正社員と異なる賃金体系の就業規則等が通算6ヶ月以上適用されていた人(通算5年超の有期雇用は無期扱い)
- 正社員転換制度を就業規則等に事前に規定し、手続き・要件・転換時期を明示していること
- 転換後の正社員に「賞与または退職金の制度」と「昇給」が適用されること
- 正社員採用を前提に雇い入れた人、転換前3年以内に自社で正社員だった人は対象外
- 転換日の前後(前日の6ヶ月前から1年経過日まで)に会社都合の離職者を出していないこと
申請の流れ — 計画書の事前提出が絶対条件
- ① キャリアアップ計画書を転換日の前日までに管轄の労働局へ提出(1ヶ月前など余裕を持った提出が推奨されています)
- ② 就業規則に転換制度を規定し、制度に基づいて正社員へ転換
- ③ 転換後6ヶ月分の賃金を支払う
- ④ 支払日の翌日から2ヶ月以内に支給申請(重点支援対象者の2期目は12ヶ月分の賃金支払い後2ヶ月以内)
申請は労働局窓口への持参・郵送・電子申請のいずれも可能です。電子申請は「雇用関係助成金ポータル」から行い、GビズIDが必要です(補助金で使うjGrantsとは別システムです)。郵送は締切日までの到着が必要な点に注意してください。
2026年度の変更点
- 情報公表加算(20万円・大企業15万円)の新設 — 2026年4月8日以降の転換が対象
- 社会保険適用時処遇改善コースは終了(2026年3月末までの取組が対象)。以降は短時間労働者労働時間延長支援コースが受け皿
- 2026年10月以降の転換から、企業型確定拠出年金の事業主掛金は賃金3%増の比較に含めない取扱いに変更
正社員化コースの支給額と3%賃上げ要件は前年度から変更ありません。なお年度途中で要件が変わる場合があると公式に明記されているため、着手前に管轄労働局への確認をおすすめします。
不支給になりやすいケース
- 計画書の提出前に転換してしまった(遡っての申請は不可)
- 就業規則の規定と異なる手続き・時期で転換した、または就業規則の施行日前に転換手続きを行った
- 賃金台帳を転記・加工した書類で申請した(原本または複写のみ有効。差し替え・訂正も不可)
- 転換後に基本給や手当を下げるなど、処遇低下があった
人手不足時代の定着支援に、まず計画書から
キャリアアップ助成金は通年で申請でき、人材の定着とセットで国の支援を受けられる使い勝手のよい制度です。まずはキャリアアップ計画書の提出という最初の一歩を早めに済ませておきましょう。また、人材確保・賃上げ・設備投資には自治体独自の補助金も多くあります。補助金みっけなら、国(jGrants)の公式データからあなたの地域・業種で使える制度を無料で検索でき、お気に入り登録した制度の締切アラートも受け取れます。
よくある質問
パートやアルバイトを正社員にした場合も対象になりますか?
対象になります。正社員化コースの対象は、正社員と異なる賃金体系の就業規則等が通算6ヶ月以上適用された有期雇用・無期雇用の労働者(パート・アルバイト・契約社員など)と、同一の組織で6ヶ月以上働いた派遣労働者の直接雇用です。ただし、正社員として雇うことを約束して採用した人や、転換前3年以内に自社で正社員だった人は対象外です。
助成金はいつ受け取れますか?
後払いです。正社員転換後6ヶ月分の賃金を支払い、その翌日から2ヶ月以内に支給申請します(重点支援対象者の2期目は12ヶ月分の賃金支払い後2ヶ月以内)。転換から入金までは審査期間も含めて相応の期間がかかるため、転換後の人件費増は自己資金で賄う前提で計画してください。
補助金のような審査で不採択になることはありますか?
事業計画を競う審査はなく、要件を満たせば支給される「助成金」です。ただし、キャリアアップ計画書を転換前に提出していない、就業規則の規定と異なる手続き・時期で転換した、賃金増額が3%に満たないなど、要件不備による不支給は起こりえます。着手前の要件確認が重要です。
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